【家庭菜園】緑肥で土作り、緑肥の種類と効果まとめ






緑肥とは?
土を肥沃にしたり、土壌病害を防止したりする目的で栽培される作物のことを緑肥といいます。
緑肥は完全に土作り用の作物です。畑で栽培して、ある程度の大きさになったら土にすき込んでしまいます。これ、食べられませんのであしからず。
緑肥の種類
緑肥にはいろんな種類がありまして、それぞれに期待できる効果があります。知る限り、緑肥の種類と効果を一覧表にしてみました。※効果の細かな説明は後あとに続きます。

※緑肥の種は大きなホームセンター、もしくはネットで購入することができます。種類によっては家庭菜園用の小袋もあるので気軽に利用できますよ‼ ↓こんな感じで

緑肥の効果
土壌病害を減らす
緑肥には土壌有害微生物の増殖を抑える効果があることが知られています。
例えば、ジャガイモのそうか病(ジャガイモの表面に黒い斑点が付く病気)や大根のバーティシリウム黒点病(大根の内側に黒い斑点が出る病気)などなど、土の中で発生する厄介な病気を抑制する効果があります。
緑肥を育てると、その豊富な根っこの周りにいろんな種類の微生物が着いて、その微生物の多様性が有害微生物の増殖を抑えてくれるんだそうです。
有害線虫を減らす
有害微生物と並んで、有害線虫も土の中で増えてしまうとかなり厄介な存在ですが、これも緑肥で抑えることができます。
有害線虫の被害は家庭菜園でも意外と多くて、例えば、春から夏にかけて大根やカブを栽培すると、肌に気持ちの茶色いぶつぶつが付くことがあります。大体これは土壌線虫の仕業です。
(余談ですが)線虫被害は、作り手の心に深い傷も負わせます。大きく育った大根を収穫して、泥を洗い流した瞬間、茶色いぶつぶつを発見した時のあの悲しい気持ち、切なさといったらもう…
緑肥が有害線虫を抑制する効果は多くの試験結果が明確に示しています。※詳しく知りたい方は参考文献を参照してください。
土壌病害や有害線虫に効果のある緑肥ですが、種類によってその効果は様々になります。※どの種類の緑肥がどの作物の土壌病害や有害線虫に効果があるのか、上の表にまとめてみましたので参考にどうぞ。
土をフカフカにする
イネ科のソルゴーやヘイオーツを育てると、その根っこが土の深いところ(50㎝程度)まで届いて、固い土を砕き、土に空気が入り込む隙間ができて、結果土がフカフカになるんです。
根が土を耕す「根耕」といいます。
長年使い続けて、固く締まった土を人の力で50㎝の深さまで耕すのは大変な労力なのですが…(剣先スコップを畑に刺しても1回では20㎝が限界…)そんな大仕事を緑肥の根っこがやってくれるんです。
土の保肥力を高めます
畑が肥料成分を捕まえておく力のことを保肥力といいます。緑肥はその保肥力を高めてくれます。
土にすき込まれた緑肥は微生物に分解されて「腐食」になります。「腐食」はマイナスに荷電したコロイド(土の粒子が集まった状態)で、プラスに荷電した肥料成分とくっついて、肥料成分が雨で畑から流れ出てしまうのを防いでくれます。。
マメ科の緑肥は畑に窒素(N)を供給してくれます。
クロタラリアやクローバーなどのマメ科の緑肥はその根っこに根粒菌がついて、空中の窒素を土中に固定してくれます。つまりマメ科緑肥を育てるだけで作物の生育に必要な窒素を土に補給してくれるんです。
その他の効果
代表的な緑肥の効果について説明してきました…他にも緑肥で雑草の繁茂を抑制したり、ソルゴーなどの大型緑肥で畑の周りに壁を作り、周囲からの農薬飛散を防いだり、マリーゴールドやヒマワリなど花が咲く緑肥は農村景観の改善にも使われたりします(家庭菜園でも畑の周りに植えたらかわいいかも)。
緑肥を使う上での注意点
緑肥の使い方については、ここでは詳しく説明しませんが(使い方については別の記事作ります~)ひとつだけお伝えしておきたい注意点があります。
それは「緑肥を畑にすき込んだ後、すぐに種まきや苗植えをしない」ことです。
腐熟期間といいまして、畑の中で緑肥が分解されるのに時間が必要で、すき込んでから次の作付けまで2~3週間ほど時間をおく必要があります。
緑肥を取り入れた作付け計画を立てるときには、あらかじめ腐熟期間を計算に入れておきましょう。
おわりに
家庭菜園で緑肥使ってる人、あんまりいないんですよね…家庭菜園の小さな畑だと、緑肥を育てるスペースと時間がもったいないし、おススメする人も少ないのでしょう。
なのですが、これだけ効果沢山の緑肥を家庭菜園で使わないのはもったいないです。スペースがもったいないのであれば、畝と畝の間に緑肥の種を撒いておくのもありですし、夏場なら緑肥の生育も早いですから、作付けの合間を見つけて育てておくとか、工夫次第だと思います。
特に土壌病害や有害線虫を防止する手段として、農薬を使いたくない人にはおススメします。
緑肥で土作り、是非挑戦してみてください‼
参考文献
この記事を書くにあたり、こちらの本を参考にさせてもらいました。緑肥の効果を豊富な試験結果をもとに説明してあります(北海道での試験結果が多いです)。農家さんや農業関係者向けの本だと思うのですが、緑肥についての本はあまりないので、家庭菜園をやっていて緑肥に興味がある方は読んでみてください。
