【ぶらり畑散歩】2019年11月<千葉県山武市>

2021年9月22日

11月上旬、千葉県山武市の畑を見に行ってきました。

千葉県山武市といえば、2019年9月9日に関東地方を直撃した台風19号の被害を大きく受けた地域のひとつです。その被害状況はネットやメディアでも取り上げられていました。

実はこの山武市、有機農業の生産者(農家さん)がとても多くて、その業界では有機の町として有名なんです。

町の入り口の看板です「有機の里 山武」

私自身、日本全国いろんな地域の畑を見てきましたが、山武市の農家さんはすごく腕がよくて、畑を見ればめちゃキレイ‼ 畝のたて方、トンネルの張り方、作物の揃い、圃場周りの清潔さ…どれをとっても超一流の方が沢山いらっしゃいます。

(個人的なお話ですが…何人かの農家さんからは沢山のことを教えて頂いた過去もありまして…)

山武町の特産は人参、里芋、落花生(隣町の八街の方が有名ですが)スイカなどなど…ほかにも施設農業(ビニールハウス)されている方も多くて、農家さんの腕前もプラスして何でも作れる大農業地帯になっています。

しばらく足が遠のいていましたけど、台風の影響はどうなのか、ずっと気になっていたので、思い切って山武市に出かけてみることにしました。

目次

台風19号、風の破壊力

直撃が9月9日、もうすでに2か月程経っていますから、大分、被害を受けた建物やビニールハウスの片づけは進んでいました。ですけど、まだまだ台風の爪痕は残っていて、ハウスの壊れ方から見るにどれだけ強い風だったのか想像できます。

風で押しつぶされたビニールハウス
ハウスの鉄骨もビニールもずだぼろに切り裂かれていました。
近づけませんでしたが、右のビニールハウス3棟が全壊しています。

壊れたビニールハウスがあまりにも多く、再建するにも品物不足でメーカーから部材の入手ができない状況なのだそうです。この状況が来春まで続くと、お米の苗や春夏野菜の苗が作れず、農家さんへの被害状況は来年の夏~秋まで続いてしまいます。農家さんの現実に合わせた具体的なバックアップを行政の方には臨みたいものです。

風の影響で木が根元からえぐられていました。凄まじい…
木が折れてます、想像を絶する風だったことが分かります。

台風19号の影響 大雨の爪痕

とにかく雨もすごかったそうです。この畑、少し低いところにあるのですが、完全に水没して池のようになってしまったとのことでした。2か月経ったいまでもまだ乾かず畑として使えない状況が続いています。

右側の土手まで水が溜まっていたそうです。ここは畑です…まだ水が引かない状況
同じ畑を反対側から見ました、土手2メートルはありますが、土手のてっぺんまで水浸しだったそうです。どれだけすごい雨だったのか…

山武市の特産 秋人参

心配していた露地野菜…人参は元気でした‼ よかった~それにしてもさすがに山武市、人参畑だらけです。

元気な人参、よかった~収穫は12月になるかな…
さすが山武市、人参畑も広大です。ずっと奥まで人参…

落花生の乾燥 ぼっち

収穫した落花生は写真のように積み上げて(これ「ぼっち」と呼びます)乾燥させていました。八街~山武市にかけての秋の風景です。積み上げ方にもコツがあっって、下手くそが積むと崩れてしまうのだとか…

落花生産地の風物詩「ぼっち」です。
里芋畑と「ぼっち」
手前人参畑と奥「ぼっち」
これも「ぼっち」同様、落花生を乾燥させているところです。
雨風をよけるためにビニールで落花生を覆う方法ですが、管理が難しく、失敗すると落花生の内側の皮が剥がれてしまい、商品価値が下がってしまうのだそうです。
時間はかかるけど昔ながらの「ぼっち乾燥」のほうが品質は良くなると聞きました。

見事なネギ畑発見しました。

どこまでネギやねん。

見事なネギ畑を発見しました。すげぇな…ずっと向こうまでネギ畑です。

レタス畑とブロッコリー

ブロッコリー、花芽が出てきました、あと1~2週間で収穫だそうです。
オーガニックのレタス畑
ここも台風で水没してしまい、ほとんど出荷できないのだそうです。ひどい…

ごぼう畑

ごぼう畑です。これ有機圃場ですよ、キレイです…
ごぼう下からアップ写真

ちゃっかり野菜頂いてきました

知り合いの農家さんにお邪魔して、ちゃっかりロメインレタスと収穫したての里芋頂いてきちゃいました。もう、ねぎらう言葉も見つからないのに、なんてことでしょ。「もってけもってけって」すいません~ありがたく大切に頂きます‼

農業はその時々だけの状況で収入が決まる仕事ではありません。おそらく台風19号の影響は来年夏まで続くでしょう。それでも、生活がかかっているのに、農業をやめず農産物を作り続ける農家さんには頭が上がりません、とてつもない精神力です。

お邪魔した知人の農家さんが言ってました、それでもモノづくりは面白いよって。

それでも有機農業を諦めない農家さんがいるってこと、胸に刻んで山武市を後にしたのでした。