野菜の品種とは?農家さんが品種を選ぶ理由、品種による味の違い、野菜売場の表示について

2021年9月24日

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例えば人参の呼び方あれこれ

野菜ひとつとっても、生産者、仲卸業者、消費者といろんな立場の人が関わってまして、それぞれ必要な情報が違いますから、いろんな呼び方があったりします。

例えば人参、市場関係者なら、でっかい産地名で道産、関東産、九州もの…季節で、春もの、冬もの、規格でいえば、ばら、袋詰め、箱詰め、S、M、LLなどなど。

消費者はどうでしょうか、あんまり細かな情報は必要ないから、人参の呼び方といわれても「人参は人参でしょ」となりますかね。

ところが、農業関係者、特に生産者になると呼び方がガラっと変わります。もちろん人参は人参ですから、人参のことを呼ぶときは「人参」なんですけど、品種名で呼び合うことも多くて、例えば「あの畑、向陽2号(人参の品種名)か?」みたいな会話も自然に成立してしまうんです。

野菜の品種とは

「品種」の言葉の意味を調べると…作物の栽培または家畜の飼育,あるいはそれらの利用上、一定の特徴に基づいて同一の単位として分類される個体群(コトバンクより)だそうです。

ですが、ここでは、元農民としての経験から、農家のおっちゃんが一般的に認識してる「品種」の意味について解説していきたいと思います。

農家さんにしてみれば「品種」は種の商品名です。多少の語弊があるかもしれませんが、ほぼ間違いないでしょう。人参なら超ベストセラーの「向陽2号」や「ベータリッチ」「新黒田五寸」「紅あかり」などなど…2大種苗メーカーの「タキイ種苗」「サカタのタネ」はじめ、いろんな種苗会社さんが特徴ある野菜の種(品種)を販売しています。

毎年のように新品種はリリースされますし、いったいどれだけの品種があるのか数えきれません、数百とも数千ともいわれています。

農家さんが品種を選ぶ理由

人参を例にしていますので、その流れで説明しますと、農家さんは畑に人参の種を撒く前に種屋さんや農協の購買部から種を買います。

その際、品種を選ぶのですが、いくつかのポイントがありまして(品種特性といいます)。栽培適期、栽培期間(早生、晩生)抽苔特性(花が咲く条件の違い)、耐病性、肥料耐性、作物の形状、味などです。選定を間違えると人参が大きくなる前に花が咲いてしまったり、大変なことになってしまいます。

農家さんにとって品種選びはとても大切な仕事です。農協さんや取引業者さんから栽培品種を指定されることもあります。「うちの畑にはこの品種が相性良い」理由で同じ品種を作り続けている農家さんや、毎年のように新品種を試している農家さんもいたり、農家さんにとって栽培の失敗は致命的ですから、もうこれは立派な経営判断なんです。

品種による味の違い

栽培品種によって野菜の味は変わるのでしょうか?

元農民としての経験ですが、間違いなく品種による味の違いはあります。もちろん、野菜の味を決める要因は「畑の良し悪し」「天候」「農家さんの腕前」など他にもあるのですが、品種の違いが野菜の味を決める大きな要因の一つであることは間違いないと思います。

農家さんが都市伝説的に持っている共通認識は「美味しい品種は栽培が難しく、栽培が安定している品種の味は不味い」です。※味を決めるのは品種だけではないので、一般的に不味いといわれる品種でも素晴らしく美味しく育て上げるすごい農家さんもいます。

個人的な経験でひとつ品種を紹介させていただきますと、みかど協和種苗のカブ「品種:はくれい」は凄かった。初めて作ったカブだったんですけど、収穫して食べたときめちゃくちゃ甘くて、本当にフルーツの桃かと思った。

あの感動、もう一度味わいたいな…

品種で野菜を選ぶことの難しさ

どうせなら、美味しい品種の野菜を買いたいですよね…でもそれは難しい相談です。

まあ、野菜の品種情報なんて、相当な野菜マニア(そんな奴いるのか?)でもない限り興味ないでしょうから、野菜の流通業者さんもあえてその情報を消費者に届けようとしません。

野菜の表示を見ても品種は分かりません

スーパーに並んでいる野菜を見ても、ポップに品種名は書いていませんよね…だって書く必要ないんだもの。

消費者庁の発行する「食品表示基準に基づく表示」で確認すると、農産物(生鮮食品)を消費者向けに販売する際に必要な事項は「名称」と「原産地」となっています。

細かな説明をしますと。

名称:その内容を表す一般的な名称
   例)きゅうり、白菜、トマト

   ただし、品種名が一般に理解されると考えられるのならその名称で表示するのはOKです。
   例)男爵、メークイン、桃太郎

原産地:国産品には都道府県名、輸入品には原産国名を表示します。
   例)埼玉県産、北海道産

   原産地についても、名称が一般的に知られているのならその地名で表示してもOK
   例)秩父産、下仁田など

つまり、品種名で表示していいのは、名称一般的に知られている場合だけで、品種名を表示する義務はないってことですね。

おわり

野菜も米みたいに品種名で選べればいいのに。せめて同じ野菜でも、もう少し表示情報があると選択の幅が広がって、楽しめるんですけどね~まあ、ただの野菜マニアのないものねだりでございます。

同じ野菜でもいろんな種類があるってこと伝えたかったんです。

野菜の品種についてでした~