【室内栽培】ハダニってどんな虫?|ハダニ対策はどうする?

2023年7月10日

<この記事の内容>
ハダニとはどんな虫で、どこにいて、どこからやってくるのか?ハダニの生態を紹介したうえで、室内栽培のハダニ対策はどうするのか?を説明しています。

目次

ハダニってどんな虫?

・ハダニはハダニ科に属する植物寄生性のダニで、鋏角亜門という「クモ」の仲間に分類されます。
・体長0.3~0.8mmほどで、大きなものは(頑張れば)肉眼で見ることができます
 ⇒葉裏の赤い点が動けば恐らくハダニでしょう(*_*)
・害虫として一般的なのは赤ダニ(赤色)ですが、ハダニの種類は70種類程いて黄緑、黒、茶色など様々な色のハダニもいます。
・ハダニは英語で「Spider mite」と呼ばれ、吐糸管から糸を出し、野菜に網を張ります
 ⇒さらに、この糸で風に乗り移動もするらしいです。

スナップエンドウの葉裏…赤い点々がハダニです。

ハダニの被害は?

ハダニは葉裏から栄養を吸い取り、放っておくと葉っぱは枯れ、植物を弱体化させてしまいます。
数匹なら無視して良い被害なのですが…ハダニが増えて、集団で襲われると植物はあっという間に駄目になってしまいます。

ハダニ被害にあった三つ葉…ハダニに吸われると白い斑点になり、放っておくとどんどん広がっていきます。
ハダニでダメになったスナップエンドウ…葉っぱに白い点々がつき、だんだん拡大⇒最後は枯れてしまいました。

ハダニはいつ発生する?

ハダニは3月~10月の暖かい時期に活発化します。但し、湿度を嫌うため梅雨時期はおとなしくしているらしい⇒梅雨が明ければ本格的な繁殖シーズン到来です。

※残念ながら…室内なら通年活動可能と考えてよいでしょう。

ハダニのライフサイクル(生態)は?

ハダニの基本的なライフサイクルは【卵⇒孵化⇒脱皮を数回⇒成虫⇒産卵】の繰り返しです。

成長の速度は早く、温度と関係があり、25℃の環境なら卵から生長になるまで10日前後だそうです。

産卵数は1日に数個~10個程度で一生で100個程度

※ハダニのオスとメスが交尾するとすべてメスが生まれ、メスはオスがいなくても産卵できて(単為生殖)⇒この場合はすべてオスが生まれます。

つまり、ハダニの成長に適した温度なら、10日前後で卵を産める成虫に育ち、ひとつの個体が数個~10個程度の卵を産みまくり、放っておけば爆発的に増え続けることになります。

ハダニの越冬

因みに…ハダニは樹木の枝や幹などの隙間、皮の下(粗皮下)、雑草(下草)でメスの成虫態で越冬するそうです。(暖かい室内なら真冬も元気に活動しますけど…)

ハダニは何処からやってくる?

そもそも、ハダニは公園や道端の雑草、雑木林など、いろいろなところに生息していています。

ハダニはクモのように糸を出して風に乗り移動します⇒自宅の庭やベランダの植物にハダニが寄生したのなら、どこからともなく風に乗ってやってきたのでしょう。

謎なのは「室内で栽培している野菜につくハダニがどこからやってきたのか?」です。
⇒推測ですが~外に出かけた人間の体に付着していたとか、外から持ち込んだ資材に付着していたとか、少しの間窓を開けていた瞬間に風に乗って入ってきた…などなど考えられます。

なにはともあれ、1匹でも室内に入れてしまえばあとは爆発的に増殖してしまいますから…室内とはいえ油断しないようにしましょう。

ハダニの効果的な対策方法は?

ハダニ対策はとにかく「個体数を増やさないこと」です。

室内で発生してしまったハダニを完全に駆逐するのは難しく、完全除去に成功したとしても、結局またどこからともなくやってきます。

幸いなことに数匹のハダニなら被害は殆どありません、むしろ気が付かないレベル⇒ですので、完全に駆逐することは考えず、数を増やさせないことを考えた方が得策になります。

「ハダニを減らす⇒繁殖を抑える」流れで対策しましょう。

ハダニを減らす|農薬を使う

ハダニに有効な農薬はいろいろですが、このサイトでは基本的に無農薬栽培を紹介しているので、どぎつい化学農薬はおススメしません。

おススメするのはこれ↓ 「微生物が生産する天然物農薬」を紹介しています。

農薬でハダニ対策する場合の注意点

ハダニは農薬に対する抵抗性を獲得する可能性が高い害虫です⇒つまり…同じ系統の農薬を使い続けると、だんだんと効き目が悪くなります。

<ハダニが農薬耐性を獲得するに至る理由>
例)農薬Aを使用してハダニを減らす⇒生き残ったハダニは農薬Aに耐性がある⇒農薬Aに耐性があるハダニが増殖⇒農薬Aはだんだん効かなくなる…

ハダニは世代交代が速いので(遺伝的に)農薬耐性のあるハダニが増えるスピードも速いってことです。

ですので、農薬はハダニの個体数を減らす目的で一発の使用に留めておきましょう
⇒同じ農薬を使うのはハダニが何世代か交代した後になります。

ハダニを減らす|ハダニが付いた葉っぱを捨てる

酷くハダニが付いている葉っぱは切り取り、ビニール袋に入れて捨ててしまいましょう。

酷くハダニが発生してしまえば、物理的にハダニを減らさなくてはいけません⇒農薬を使うのもこの処理をした後が良いでしょう。

ハダニを減らす|セロテープで取り除く

あまりにもハダニが多い場合は現実的な手段ではありませんが…セロテープで取り除く方法もあります。

ハダニの繁殖を抑える|水をかける

ハダニは水が苦手なので、定期的に葉裏に霧吹きで水を掛けると繁殖を抑えることができるそうです。

この方法、意外とお手軽でして…霧吹きさえ用意しておけば気が付いた時に水を掛けることができます。

ハダニが既に多く発生している状況では効果は見込めませんが、霧吹きしていれば確かにハダニが増えることはありません。

※強めのシャワーで物理的にハダニを洗い流す荒業もあるらしいですよ(*_*;

ハダニの繁殖を抑える方法|木酢を散布する

木酢を希釈して散布する方法もあるらしいのですが…ハダニ防除に効果がある根拠が見当たらず、自信を持ってお勧めできません。

どうせ霧吹きなどで水を散布するのなら、たまには(ついでに)木酢を混ぜてみても良いでしょう。

希釈倍率さえ間違えなければ、害にはなりませんからね(^^♪

ハダニ対策には継続した管理が大切です

ハダニ対策は増やさないこと、繁殖させないことです。

「ハダニがついていないか定期的に確認する」「水を噴きかけ続ける」など継続した管理が大切になります。

室内で育てるってことは、人間の都合ですからちゃんと管理してあげなくちゃいけないんですね。

「放置してたら、いつの間にかハダニにやられてた~」なんてことにならないように注意しておきましょう。

参考)フマキラー_植物に寄生するハダニとは?ハダニの予防と駆除について解説
参考)病害虫・雑草の情報基地_ハダニ類
参考)農研気候_ナミハダニ・黄緑型
参考)農研機構_野菜害虫の薬剤抵抗性の発達と防除対策