【家庭菜園】土壌線虫とは?|無農薬で線虫対策する方法
土壌線虫の基本情報と農薬を使わず線虫被害を回避する方法を紹介しています。
こんな症状はありませんか?
✓大根やカブの肌に茶色いぶつぶつができた
✓葉っぱがしぼんで萎れてきた(萎凋)
これ土壌線虫の仕業かもしれませんよ(*_*)
土壌線虫とは?
線虫は線形動物とも呼ばれ、線形動物門に属する動物の総称です。
細長い糸状の姿で大きさは0.3㎜~1㎜、基本的に無色透明で土壌中の線虫を肉眼で見ることは出来ません。
線虫は寄生性線虫と自活線虫に分けられ、農作物(野菜)に被害をもたらす線虫は、寄生性線虫になります⇒こいつは植物の根に寄生して養分を吸い取り、野菜をダメにしてしまいます。※自分で餌を獲得する自活性線虫は野菜にとって基本的に無害です。
因みに…線虫類は現在20,000種が確認され、種の数は1億以上、地球上のバイオマス(生物資源量)の15%を占めているとも言われています。
野菜に被害をもたらす線虫の種類
野菜に被害をもたらす線虫はネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウ、シストセンチュウの3種類です。
ネコブセンチュウ
被害のある野菜:ナス科の野菜類(トマト、ナスなど)ウリ科の果菜類(キュウリ、スイカなど)、ニンジン、ゴボウ、サツマイモ、サトイモ、ジャガイモなどなど
※地温10℃くらいから活動開始、卵で越冬、活動と繁殖の適温は25℃~35℃
ネグサレセンチュウ
被害のある野菜:人参、ごぼう、大根、レタス、トマト、イチゴ、ジャガイモ、イチゴ、さつま芋
※高温多湿になると活発化⇒地温15度くらいから活動開始
ネグサレセンチュウは根の組織内で産卵して、幼虫になると次の寄生先を求めて土の中を移動します。
シストセンチュウ
被害のある野菜:ジャガイモ、大豆など
シストセンチュウは、卵や幼生が厚い膜を覆って休眠状態になり越冬します⇒厚い膜で覆われているため農薬が効きにくく、被害も大きいため、ジャガイモや大豆の産地で問題になっています。
余談ですが…北海道の大豆産地を車で走っていると、シストセンチュウ対策を呼び掛ける看板をよく見かけます。
線虫の生活環(卵から次の産卵まで)
植物に寄生する線虫の卵から次の産卵までの生活環をざっくりまとめるとこうなります。
【卵⇒幼虫が植物の根に侵入して寄生⇒根から養分を摂取して成虫になる⇒産卵】
※線虫の種類によって若干の違いはあります。
植物の根に線虫の幼虫が侵入してから次の産卵が始まるまで25日~30日(ネコブセンチュウ)、1世代は30日~40日、暖地で年に3~4世代が繰り返されると考えられています。
高温多湿を好み、条件が良くなると爆発的に増殖してしまいます。
無農薬で線虫対策する方法
線虫が活動する時期の栽培を避ける
線虫の活動が活発化するのは高温多湿の時期です。
家庭菜園で特に被害の多い根菜類は夏場の栽培を避けましょう⇒おススメするのは春先と秋口の種まきです。
線虫を避ける栽培時期についての詳しい説明は、野菜ごとの育て方にまとめました。
線虫抑制効果のある緑肥を使う
無農薬で線虫を撲滅することはできませんが、野菜に被害が及ばない密度まで減らすことは出来ます。
緑肥の中には線虫の繁殖を抑制する化学的物質を持っているものがあります⇒線虫被害が出たら次に野菜を植え付けるのは諦めて、緑肥でリセットしましょう。
夏場に太陽熱消毒する
これも土の中の線虫密度を減らす方法です。
太陽熱消毒は夏の暑い時期にしかできませんが、無農薬の線虫対策として有効な方法です。
連作を避けて上手に輪作する
特定の野菜を連続で植え続けると、同じ線虫が根に寄生し続けてどんどん増えてしまいます。
なるべく連作をさけて、前作とは異なる野菜を植え付けることを心がけましょう。
※野菜の中でも落花生は線虫対抗性がある野菜として知られています。
線虫対抗性の緑肥や落花生を意識的に植え付けて、線虫対策しておくことをおススメします。
千葉の農家さん、北総地帯の産地では落花生の後に人参を作付けすることが多いのですが、これは輪作体系を利用した線虫対策なんだそうです。
畑はいつもキレイに片付けておく
収穫時期を過ぎた野菜を畑に放置しておくと、線虫の住処を提供しているようなものです。
野菜の栽培が終わった畑はサッサと片付けていつもキレイにしておきましょう。
例えば、春の野菜を収穫した後、秋の人参やキャベツなど作付け時期の早い秋野菜を植え付けるなら、6月頃から8月まで畑が空くはずです⇒その期間を狙ってエンバクを撒いて、植え付け一ヵ月前に反転しておくと線虫対策と土作りはバッチリです。
線虫は事前の対策が大切です
いま線虫被害がなくても、無農薬で野菜を作り続ければ線虫密度が高くなり、いずれ何も育たない畑になってしまいます。
土の中には悪さをする害虫がいることを意識して、事前に対策しておきましょう。
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