堆肥の効果は?|堆肥の土づくり効果と肥料効果について
堆肥の2つの効果「土作り効果」と「肥料効果」について解説しています。
ということで、ここでは堆肥の効果について説明していきたいと思います。
堆肥にはどんな効果があるの?
堆肥の効果は土づくり効果と肥料効果の2つになります。
土づくり効果:堆肥は土を「野菜が元気に育つ土」に変えてくれます。
肥料効果:堆肥によっては肥料成分を含むものがあり、肥料としての効果があります。
堆肥の土づくり効果とは?
小難しい言葉を使えば土の保水力向上、通気性の改善、保肥力の向上です。
実際に畑で実感できる効果はこんな感じ↓
土がフカフカになった
水はけが良くなった
野菜が青々と健康に育つようになった
野菜の育ちにバラツキがなくなった
病気でやられることが少なくなった
害虫被害が減った
土の保水力が良くなるってどういうこと?
保水力とは、土が水を捕まえておく力のことをいいます。 作物にとってちょうどいい水分状態を保てる土が保水力の高い土になります。
保水力の高い土を例えるなら、森の土です。
森の土は手で触るとしっとりと湿った感じがしますよね、これが保水力が高い土の状態です。
反対に保水力の低い土は砂漠や砂浜の砂をイメージすると分かり易いです。砂に水を撒いても、あっという間に乾いてしまいます。これが保水力のない土の状態です。
保水力のない土で野菜を作れば、すぐに乾いてしまいますから、ひっきりなしに水やりをしなくてはいけません。水やりをさぼろうとして、だぶだぶに水をやれば、今度は根腐れを起こしてしまいます。
保水力のない土で、作物にとってちょうどいい水分状態を保つにはかなりの努力が必要ですが、保水力の高い土は、作物が生育するのに必要な水分を適量含んだ状態を保ってくれます。
堆肥にはこの「土の保水力」を高める効果があります。
土の通気性が良くなるとどうなるの?
扱いにくい粘土質の土(乾くとがちがちに固くなる)や反対に砂に近いような土も長年、堆肥を投入して土作りすると、通気性の良い、フカフカな鍬やスコップで扱いやすい状態に変わっていきます。
植物の根は呼吸をしていますから、通気性の良い土は植物にとっても良い土です。
堆肥は土をフカフカな、人間が扱いやすい、植物が育ちやすい状態に変えてくれます。
※個人の経験ですが…そもそも粘土質の土をフカフカにするためには、かなりの量の堆肥と時間が必要です。粘土質の土を改善するなら、腰を据えてじっくりやりましょう(^^♪
土の保肥力が向上するメリットは?
堆肥は土の保肥力を高めてくれます。
保肥力とは…土が肥料を捕まえる力のことをいいます。
例えば、大きく展開する葉物野菜(白菜とかキャベツとか)を作るなら、始め葉っぱの色つやも良くて順調な生育でも、ある時期を過ぎると全体的に色あせて、しまいには葉っぱが黄色くなって生育が止まってしまいます。
所謂「肥料切れ」ってやつです。作物が成長するのに必要な肥料分(葉っぱを大きくするのは主に窒素)が最後までもたない状態です。
畑に入れた肥料は、雨が降れば土から流れ出してしまいます。
ところが、保肥力が高い土は肥料成分をしっかり捕まえて、雨が降っても肥料の流亡を防いでくれます。
土が肥料を捕まえた状態は、いつでもお金をき出せる銀行口座みたいなもので、作物が必要な時に必要な量の肥料を取り出すことができるようになります。
堆肥には土の保肥力を高める効果もあるんです。
なんで堆肥(有機物)を使うと土が良くなるのか
土の団粒構造とは?
「なんで堆肥を使うと土が良くなるのか」を理解するためには土の団粒構造について知る必要があります。
団粒構造とは…土の粒子(ちっちゃな土の粒)が集まって大きな粒になり、大きな粒が集まった状態(構造)のことです。※反対にバラバラな状態は単粒構造といわれます。
堆肥や腐葉土などの有機物を畑に撒くと、土の中で微生物に分解されて「腐食」と呼ばれる物質に変化します。この「腐食」が土の粒をつなぎ合わせる糊の役割をして、土が団粒構造になっていきます。
保水性と通気性が上がる理由
団粒構造の土はその大きな粒の中に水分を蓄えます。一方で余分な水分は団粒構造の大きな粒と粒の間を流れ畑から流れ落ちますので、水はけがが良くて水持ちのよい(なんとも都合の良い)土の状態になります。
それに、団粒構造の大きな粒と粒の間には、空気がありますので、土は空気を含んだ扱いやすい状態になります。
保肥力が上がる理由
堆肥を畑に撒くと、それを分解する微生物が集まり、先に説明した「腐食」が増え、微生物や腐食はマイナスに荷電したコロイド(土の粒子が集まった状態です)を作ります。
このコロイドはマイナスに荷電していて、肥料分の多くはプラスに荷電していますので、電気的にくっつきます。
作物は都合のいい時に、ここから肥料を吸収していきます。
堆肥をつかって土作りをすると腐食が増えて、土が団粒構造になり、電気的にマイナスのコロイドが作られることで、状態がどんどん良くなるってことです。
堆肥の肥料効果とは?
肥料効果…堆肥の種類によっては肥料成分を含むものもあり、野菜の成長を助ける効果があります。
ややこしいお話なんですけどね..特に家畜(牛、豚、鳥)を原料にした堆肥には多くの肥料成分が含まれていて、堆肥だけど肥料としての効果もあるんです。
動物性堆肥にはどの位の肥料成分がふくまれているの?
家畜の糞を原料にした牛糞堆肥、豚糞堆肥、鶏糞堆肥は肥料の三要素(窒素、リン酸、カリ)を比較的に多く含んでいて、肥料成分として働いてくれます。
<ちなみに~堆肥の種類には大きく分けて植物性堆肥と動物性堆肥があります>
植物性堆肥…バーク堆肥、もみ殻堆肥、稲わら堆肥など、植物性の原料だけで作られたもの
動物性堆肥…牛や豚、鳥などの家畜の糞に植物性の原料を混入して作られたもの
※植物性堆肥は肥料成分をほとんど含みません。
動物性堆肥に含まれる肥料成分は家畜の種類によって大体の比率が決まります。
牛糞堆肥 窒素0.6% リン酸0.8% カリ0.7%
引用元:農林水産省_健康な土づくりマニュアル‗3堆肥‗[1]堆肥の種類と特徴
豚糞堆肥 窒素2.4% リン酸4.7% カリ2.2%
鶏糞堆肥 窒素1.9% リン酸4.2% カリ1.9%
※これはあくまで平均値です…家畜に与える餌の種類や発酵の程度、堆肥の製造法の違いによって成分比は変わってきます。動物性堆肥を購入する場合はパッケージに肥料成分の含有量が記載してあるのでそちらの数字を見てください。
肥料効果について:動物性堆肥の注意点
動物性堆肥には肥料効果があると書きましたが…堆肥だけで肥料を賄おうとするのはちょっと危険です。
先ほどの成分表をもう一度見てみてください。
そうなんです、バランスが悪いんです。
例えば豚糞堆肥ばかりを使えばリン酸が多くなりすぎて肥料障害を起こすかもしれません。
堆肥だけで窒素成分を補おうとすれば、大量の堆肥が必要になるでしょう。
※それに、堆肥に含まれる肥料成分のすべてが植物に吸収されることはなく、必要な肥料成分量の計算が立ちません。
あくまでも堆肥の肥料効果は補助的なもの、肥料成分は肥料でちゃんと補ってあげましょう。
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