【家庭菜園】緑肥とは?|緑肥の効果とデメリット|家庭菜園で使えるおススメの緑肥3選
緑肥とな何なのか、メリットとデメリット、家庭菜園で使えるおススメの緑肥について説明しています。
緑肥とは?
土を肥沃にしたり、土壌病害を防止したりする目的で栽培される作物のことを緑肥といいます。
緑肥は完全に土作り用の作物です。畑で栽培して、ある程度の大きさになったら土にすき込んでしまいます。これ、食べられませんのであしからず。
緑肥作物の種類と効果の一覧表
緑肥にはいろんな種類がありまして、それぞれに期待できる効果があります⇒緑肥作物の種類と効果を一覧表にしてみました。※効果の細かな説明は後あとに続きます。
※緑肥の種は大きなホームセンター、もしくはネットで購入することができます。種類によっては家庭菜園用の小袋もあるので気軽に利用できますよ‼ ↓こんな感じで
家庭菜園の緑肥|メリット、緑肥の効果とは?
土壌病害を減らす
緑肥には土壌有害微生物の増殖を抑える効果があることが知られています。
例えば、ジャガイモのそうか病(ジャガイモの表面に黒い斑点が付く病気)や大根のバーティシリウム黒点病(大根の内側に黒い斑点が出る病気)などなど、土の中で発生する厄介な病気を抑制する効果があります。
緑肥を育てると、その豊富な根っこの周りにいろんな種類の微生物が着いて、その微生物の多様性が有害微生物の増殖を抑えてくれます。
有害線虫を減らす
有害微生物と並んで、有害線虫も土の中で増えてしまうとかなり厄介な存在ですが、これも緑肥で抑えることができます。
有害線虫の被害は家庭菜園でも意外と多くて、例えば、春から夏にかけて大根やカブを栽培すると、肌に気持ちの茶色いぶつぶつが付くことがあります。大体これは土壌線虫の仕業です。
家庭菜園で使える無農薬で線虫を抑制する方法は(知る限り)太陽熱処理と緑肥だけです。
緑肥が有害線虫を抑制する効果は多くの試験結果が明確に示しています。※詳しく知りたい方は記事最後の参考文献をどうぞ。
土をフカフカにする
イネ科のソルゴーやヘイオーツを育てると、その根っこが土の深いところ(50㎝程度)まで届いて、固い土を砕き、土に空気が入り込む隙間ができて、結果土がフカフカになるんです。
根が土を耕す「根耕」といいます。
長年使い続けて、固く締まった土を人の力で50㎝の深さまで耕すのは大変な労力なのですが…(剣先スコップを畑に刺しても1回では20㎝が限界…)そんな大仕事を緑肥の根っこがやってくれます。
土の保肥力を高めます
畑が肥料成分を捕まえておく力のことを保肥力といいます。緑肥はその保肥力を高めてくれます。
土にすき込まれた緑肥は微生物に分解されて「腐食」になります。「腐食」はマイナスに荷電したコロイド(土の粒子が集まった状態)で、プラスに荷電した肥料成分とくっついて、肥料成分が雨で畑から流れ出てしまうのを防いでくれます。
マメ科の緑肥は畑に窒素(N)を供給してくれます。
クロタラリアやクローバーなどのマメ科の緑肥はその根っこに根粒菌がついて、空中の窒素を土中に固定してくれます。つまりマメ科緑肥を育てるだけで作物の生育に必要な窒素を土に補給してくれるんです。
その他の効果
代表的な緑肥の効果について説明してきました…他にも緑肥で雑草の繁茂を抑制したり、ソルゴーなどの大型緑肥で畑の周りに壁を作り、周囲からの農薬飛散を防いだり、マリーゴールドやヒマワリなど花が咲く緑肥は農村景観の改善にも使われたりします(家庭菜園でも畑の周りに植えたらかわいいかも)。
家庭菜園の緑肥|デメリットは?
良いことづくめの緑肥ですが、実は最大のデメリットがあります。
それは「とにかく時間がかかること」です。
緑肥の種を撒いて、育てて、すき込んで、分解するのを待つ…下手すると半年以上の時間が必要になってしまいます。
※緑肥を土にすき込んだ後に、土の中で緑肥が分解されるまでの時間を腐熟期間といいます⇒時期にもよりますが最低でも2~3週間は必要とされています。
緑肥を育てている期間は野菜を植え付けることができません。
お金を払って借りている畑ならなおさら、野菜を植え付けられないなんて勿体ないですよね。
家庭菜園の畑には限りがありますから、目的をはっきりさせて計画的に緑肥を使うようにしましょう。
家庭菜園の緑肥|クローバーの使い方
種まき時期:3~6月上旬、9月中旬~11月
マメ科の緑肥です⇒根粒菌が空気の窒素を固定して、土に窒素成分を補給します。
クローバーは比較的に使いやすい緑肥で、野菜を育てている間も畝間や株間(マルチなしの場合)に種まきして育てることができます。
雑草抑制効果もあるので、畑の周り、畝間などに種まきしておけば雑草対策にもなります。
種まき方法は、土の表面を耕してばら撒き⇒土を上から振りかけて(覆土)足で踏んで鎮圧すればOK
※ばら撒きだとどうしても撒きムラがでるので、気になる方は丁寧にすじ撒きしましょう(結構面倒くさいです)。
種も入手し易いので是非試して頂きたい緑肥です。
家庭菜園の緑肥|ソルゴーの使い方
種まき時期:5月~8月
イネ科の緑肥で高さ1m~3mと巨大に育つ緑肥です。
※品種によって差があります。
この緑肥、大きく育てて粉砕した後に土にすき込めば沢山の有機物を土に補給できるのですが…、家庭菜園では扱いにくく、有機物補給としての使い方はおススメできません。
ソルゴーはとにかく巨大で固く、鎌で粉砕するにも重労働、とても手作業でやり切れたものではありません。
ソルゴーには、もうひとつ他にはない効果があります。
畑に入れすぎた肥料成分を吸収するクローニングクロップとしての使い方です。
土に肥料を入れ過ぎると肥料過多になり、生育障害を起こしてしまうことがあります。
土にいれた肥料成分を人の手で取り出すことはできませんが、ソルゴーは過剰に入れてしまった肥料成分を吸収してくれます。
ソルゴーの種を撒き、大きく育った状態で刈り取って畑の外に出せば、土の中の過剰な肥料成分をキレイに掃除することができます。
もし、畑で何を育てても上手く育たないなら肥料過多かもしれません。そんな時はリセットするつもりで、ソルゴーを使って土の掃除をしてみましょう。
家庭菜園の緑肥|エンバクの使い方
種まき時期:3~11月(7~8月中旬は避ける)
イネ科の緑肥で、効果は線虫抑制と有機物補給、ジャガイモそうか病対策にもなります。
種まきも気軽にできるし、育ち良し、すき込み作業もスコップで反転すればOK‼
扱いやすくて効果抜群の優れものなんです。
おススメの使い方は9月~10月(11月上旬もギリギリ大丈夫)に種まきして、冬の間にすき込み反転、そのまま春を迎える方法です。
※夏野菜が終わった後、秋野菜の植え付けをして、余った畑にエンバクを撒いておきます⇒その畑は春に線虫被害の多い大根やカブ、そうか病被害の多いジャガイモを植え付ければ土壌病害の対策はバッチリです。
秋野菜は種類も少なく、畑が余る傾向なので丁度良いんです。
無農薬で線虫対策する方法は限られているので、エンバクの線虫抑制効果はとても助かります。
管理人が大好きなおススメ№1の緑肥です(^^♪
おわりに
家庭菜園で緑肥使ってる人、あんまりいないんですよね…家庭菜園の小さな畑だと、緑肥を育てるスペースと時間がもったいないし、おススメする人も少ないのでしょう。
なのですが、これだけ効果沢山の緑肥を家庭菜園で使わないのはもったいないです。スペースがもったいないのであれば、畝と畝の間に緑肥の種を撒いておくのもありですし、夏場なら緑肥の生育も早いですから、作付けの合間を見つけて育てておくとか、工夫次第だと思います。
特に土壌病害や有害線虫を防止する手段として、農薬を使いたくない人にはおススメします。
緑肥で土作り、是非挑戦してみてください‼
参考文献
この記事を書くにあたり、こちらの本を参考にさせてもらいました。緑肥の効果を豊富な試験結果をもとに説明してあります(北海道での試験結果が多いです)。農家さんや農業関係者向けの本だと思うのですが、緑肥についての本はあまりないので、家庭菜園をやっていて緑肥に興味がある方は読んでみてください。
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