堆肥の使い方|購入堆肥の種類、使用量、使用時期、堆肥の撒き方
バーク堆肥、腐葉土、牛糞堆肥など、堆肥の種類、注意点、使用量、使用時期、撒き方まで説明しています。
<この記事の内容>
・購入堆肥の選び方…土づくり効果なら植物性堆肥、肥料効果なら動物性堆肥を選びましょう。それぞれどんな堆肥が適しているのか紹介しています。
・堆肥の使用量…堆肥の使用量はおおよそ、面積10a(1,000㎡)で1.5t~2t(年間)なのですが…家庭菜園の畑で使うにはどのくらい(何袋)購入すればいいのか、実際に計算しながら説明します。
・堆肥の使用時期…堆肥の使用に適した季節は冬です。初心者でも失敗の少ない、堆肥の使用時期について解説しています。
・堆肥の撒き方…おススメする方法は畑全面に均一に撒いて反転する方法です。
堆肥の効果は?
堆肥の効果には土づくり効果と肥料効果があります。
土づくり効果:堆肥を使うと土が団粒化して保水性、保肥力が向上して畑に植えた野菜の育ちが良くなり、病気に強い丈夫な野菜を育てる畑に変わっていきます。
肥料効果:堆肥には肥料成分を含むものもあります。
堆肥の種類によっては肥料効果があったりなかったり、土づくり効果の大小もあるので、どちらの効果を狙うのかで堆肥の種類を選びましょう。
堆肥にはどんな種類があるの?
堆肥の種類は大きく「植物性堆肥」と「動物性堆肥」に分類されます。
植物性堆肥
バーク堆肥
バーク堆肥は針葉樹、広葉樹の樹皮(バーク)を粉砕、発酵して作られます。
この堆肥はほとんど肥料成分を含まず、肥料効果は見込めません。
これはもう、完全に土づくりのために使用する堆肥と考えてください。
<バーク堆肥使用の注意点>
バーク堆肥を使う場合は、畑に撒いてから作物を植え付けるまで十分な時間をおいてください。
理由はバーク堆肥の特性にあります。
樹皮(バーク)を発酵させるのは技術的に難しく、販売されているバーク堆肥には発酵が不十分なものもあります。
発酵が十分な、品質の良いバーク堆肥を購入できれば良いのですが…残念ながら「発酵の程度」は購入前に確認できませんし、そもそも素人が堆肥の品質を判断するのは困難です。
※かなり手間がかかりますが…堆肥の品質を確認する方法はこちらの記事で紹介しています。
【家庭菜園】購入堆肥やぼかし肥の品質を調べる方法、本に書いてあるやり方試してみた。
発酵が不十分なバーク堆肥でも、畑に撒いてから、2週間~1か月程度の時間をおけば土の中で分解が進むので安心です。
※明らかに発酵が不十分なバーク堆肥 (嫌な臭いがしたり、木くずの原型が固く残っている) を畑に撒く場合は、窒素肥料も一緒に撒くことをおススメします⇒土の中の微生物がバーク堆肥を分解するために窒素が必要です。
腐葉土
腐葉土は葉っぱ(主に落葉樹の落ち葉)を堆積、発酵させてつくられます。
バーク堆肥と同じくほとんど肥料成分を含みません。
腐葉土も土づくり用の堆肥になります。
動物性堆肥
牛糞堆肥
牛の糞にもみ殻やわらを混ぜて水分調整した後に発酵させた堆肥です。
豚糞堆肥や鶏糞堆肥に比べて肥料成分が少なく、炭水化物を多く含み、土づくりに適した堆肥です。
<牛糞堆肥使用の注意点>
牛糞堆肥は肥料成分が少なく、土づくりに適した堆肥ですが、大量に連続的に使用するとカリ過多になり、肥料障害が出ることが知られています…使い過ぎに注意しましょう‼
豚糞堆肥
豚の糞に混ざった尿を分離、乾燥させて発酵させた堆肥です。
肥料成分を多く含み、土づくり効果より肥料効果が高くなります。
鶏糞堆肥
鶏の糞を乾燥させて発酵させた堆肥です。
肥料成分が多く、土づくり効果は見込めません。これは堆肥というより、肥料です…
<豚分堆肥、鶏糞堆肥使用の注意点>
豚分堆肥、鶏糞堆肥は窒素、カリに比較してリン酸を多く含むので、土づくりのつもりで連続的に大量に土に投入するとリン酸過多で肥料障害が出てしまいます。 豚分堆肥、鶏糞堆肥は土づくりのためではなく、肥料の補助として、量に注意しながら使用しましょう。
参考)農林水産省‗土づくり技術対策指針‗土づくり技術対策~総論~
堆肥の使用量は?
25㎡の家庭菜園なら、ざっくり年間3~4袋くらいが目安です。
※細かいことを考えるなら、使う堆肥の種類や発酵の程度、土壌条件によって使用量は変わってくるので、土壌分析の数値を基に堆肥の量を計算しなくちゃいけないのでしょうけど…実際にそこまでやってる農家さんはまずいません。
とはいえ、堆肥の投入量についての大まかな(一般的に推奨されている)目安はあります。
基準は1年間で10a(1,000㎡)あたり1.5t~2t(露地野菜を生産する場合)
引用元:農林水産省‗土づくりの手引き‗3参考資料‗2有機物の施肥基準
この基準で堆肥を使うつもりで必要量を計算してみましょう。
例えば、家庭菜園で25㎡(5m×5m)区画の畑を借りているなら…
10a(1,000㎡)で1.5t(1,500㎏)⇒25㎡だと37.5㎏
10a(1,000㎡)で2t(2,000㎏)⇒25㎡だと50㎏
販売されている堆肥の容量は困ったことに…容積(ℓ)で表記されています。
堆肥1㎏が何ℓになるのかは、乾燥具合にもよりますし、容器に詰め込む量で変わってくるので、厳密に示すことはできないのですが、ざっくり【牛糞堆肥、バーク堆肥は1㎏=2.5L(管理人調べ)】になります。
ですので、必要な堆肥量(バーク堆肥、牛糞堆肥)は…
10aあたり1.5t投入するとして⇒25㎡の畑では、37.5㎏×2.5ℓ 93.75L
10aあたり2t投入するとして⇒25㎡の畑では2t、50㎏×2.5ℓ 125L
なので、25㎡の畑で年間、40ℓ入りの堆肥3袋~4袋くらいが目安になります。
堆肥はいつ畑にまくの?
おススメの堆肥使用時期
堆肥を使うおススメの使用時期は冬です。
堆肥の使い方の基本は、堆肥を畑にまいてから植え付けをするまで時間を空けることです。
※完全に分解された完熟堆肥を使用する場合は、直後に植え付けしても構いませんが、購入堆肥がすべて完熟であるとは限らないので、確実な方法として時間を空けることをおススメしています。
堆肥は完熟したものを使用するのが原則であるが、もし使う場合は作付けを夏期で1か月、冬季で2か月たってからとする。
引用元: 農林水産省‗Ⅴ‗堆肥など有機資源の利用‗(8) 園芸畑の堆きゅう肥利用上の注意点
堆肥は微生物の力で土の中でも分解するのですが、その過程で作物にとって有害なガスを出したり、分解に肥料分を消費して作物に影響する恐れがあります。
堆肥を畑に撒いた直後はまだ分解途中かもしれません。
ですので植え付けまでしっかり時間を空けてあげることが大切になります。
購入した堆肥が分解途中で未熟な場合もありますから、なおさらです。
春から秋にかけては何かしらの野菜が畑に植わっていますから、畑の空いている、たっぷり時間のある冬に一年分の堆肥を撒いて時間をかけてあげます。
※堆肥の効果的な使い方を理屈で考えれば、気温の低い時期よりも暖かい季節の方が良いです。気温が高ければ堆肥中の微生物は活発になり、土中の有機物を分解してくれますし、病原菌の増殖を抑える働きもしてくれます。
なんですけどね~春から秋の暖かい季節は野菜作りしたいじゃないですか…1か月なんて長い期間畑を空けておくのはもったいない。
春から秋に働いてくれた土にお返しするつもりで、冬には来年分の堆肥を畑に撒いてあげましょう。
雨の日に堆肥をまいてもいいの?
雨の日の「堆肥まき」は止めておきましょう。
基本的に雨の日は「畑にはいるな」です…畑がぐちょぐちょの状態で畑の土を踏みつけると土が壊れてしまいます。
堆肥をまくために畑の中を歩き回ったり、堆肥を土に混ぜ込む作業も出来ませんから、堆肥は畑が乾いている時にまきましょう。
堆肥のまき方は?
土づくり効果を狙って堆肥を撒くのであれば、畑全面に均一に撒く方法をおススメします。
簡単ですしね…どうせなら畑全体の土を良くしてしまいましょう(^^♪
畑に野菜が植わっているのであれば、畝間にパラパラ撒いたり、穴を掘って堆肥を埋めたりするしか方法がありません。
肥料効果だけを期待して堆肥を撒くのであればこれでOKです。
注意)肥料効果の高い豚糞堆肥、鶏糞堆肥には臭いがきついものもあるので、すぐに鍬などで土に混ぜ込んでおきましょう。
土づくりに適したバーク堆肥や腐葉土は比較的に臭いが少ないのですが、堆肥の効果を高めるためにもすぐに土に混ぜ込んでおきましょう。
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