【家庭菜園|無農薬】プランターの土を熱湯消毒で再生する方法

2023年5月30日

プランターの土を熱湯消毒する理由と目的、おススメの熱湯消毒方法を紹介しています。         
                                                 

目次

土を熱湯消毒する理由と目的は?

植物を病気にする病原菌を殺菌する

土を熱湯消毒する目的のひとつは、汚染した土の殺菌です。

プランターの土も、使い続けていると病原菌で汚染してしまうことがあります。

・ベランダでキュウリを育てていたらうどん粉病になった
・プランターで小松菜を育てていたら根元が軟腐病になった

他にも野菜が急に枯れたり、変色したのなら何かしらの(病名は分からんけど)病気になったと考えるべきでしょう。

植物が病気になった土は病原菌で汚染されていると考えてほぼ間違いないです。

微生物(病原菌を含む)は熱を加えると死滅しますからね、熱湯消毒で汚染した土を殺菌してしまいましょう。

土の中にいる害虫をやっつける

土を熱湯消毒すると、植物に悪さをする害虫も駆除することができます。

ベランダのプランターだって油断はできません。

どこからともなく害虫がやって来て、土の中に卵を産み付けている可能性だってあります。

コガネムシ類幼虫、ハムシ類幼虫、ゾウムシ類幼虫、タネバエ類幼虫、ダニ類やアブラムシの卵だって土の中にあるかも…

畑から土を掘ってきて、プランターに使う場合は、土壌線虫類やヨトウムシの類がいる可能性も考えるべきです。

これらの害虫は熱湯消毒で駆除してしまいましょう。

土を熱湯消毒する温度と時間は?

熱湯消毒をする目的は「殺菌」と「害虫の駆除」なのですが…何度まで土を熱すれば効果が出るのでしょうか。

病原菌の殺菌に必要な温度と時間

結論⇒75℃で30分、若しくは80℃で15分は欲しいです。

ここで注意が必要なのは、温度だけでなく時間になります。

微生物を死滅させるためには、低い温度であれば長い時間、高い温度であれば短い時間が必要です。

例えば、糸状菌(カビ)を死滅させるために必要な温度と時間は下記になります。

<糸状菌(カビ)を死滅させるために必要な温度と時間>
55℃:8時間以上
60℃~70℃:4時間
75℃:30分
80℃:15分
参考)農林水産研究に関する国内の論文・情報が探せるデーベース(アグリナレッジ)_熱水注入による土壌消毒のトマト萎ちょう病に対する防除効果 ⇒熱水浸漬処理の糸状菌に対する消毒効果について、検証結果がありましたので参考にしました。

※糸状菌は色々な病気(灰色かび病、うどんこ病、黒星病、立枯病、菌核病、白絹病などなど)の原因菌なので是が非でも殺菌しておきたいです。

この殺菌条件を満たしていない場合(例えば65℃で10分だけとか)は、糸状菌(カビ)は死滅しないので…他の微生物が死滅して糸状菌だけが生き残る可能性があります。

4時間~8時間の長時間、高い温度を保ち続けるのは容易ではないので、せめて75℃以上まで温度を上げて30分以内に終わらせるのが現実的でしょう。

余談ですが…食品工場で食中毒菌を死滅、もしくは危害の無いレベルまで減少させるために必要な加熱温度は75℃で1分(85℃達温と殺菌強度は同程度)とされています。

糸状菌は比較的に耐熱性が高いので【75℃:30分、80℃:15分】まで温度を上げておけば、他の微生物についても殺菌可能だと思います。

※植物の病原ウィルスは70℃~80℃で死滅するのだそうです(必要な時間は不明ですが…ちなみにノロウィルスを不活性にするには中心温度85~90度以上で90秒間以上加熱が必要です)。

害虫の駆除に必要な温度

65℃以上あれば、ほとんどの昆虫は駆除できるでしょう。

資料が少なく、殺菌時間については定かではないのですが、殺菌に必要な【75℃で30分:80℃で15分】を守れば昆虫の駆除は間違いないと思います。

参考1)土壌中の生物の死滅温度(農業技術体系花卉編2(農山漁村文化協会)より引用)
参考2)農林水産研究に関する国内の論文・情報が探せるデーベース(アグリナレッジ)サツマイモネコブセンチュウに対する蒸気土壌消毒の防除効果とその問題点⇒ネコブセンチュウの蒸気土壌消毒に対する防除効果について、此方に検証結果がありましたので参考にしました。

土を熱湯消毒する方法

土に熱湯をかける方法が手っ取り早いのですが、この方法で【75℃:30分、80℃:15分】をキープするのはほぼ不可能です。

高い温度を保つために、熱湯を足し続けなくてはいけないのですが、凄い量の熱湯が必要でして…熱湯消毒が終わった頃には土じゃなくて、ほぼ液体の泥水になってしまいます。

過去何度か試したのですが、ことごとく失敗でした(-“-)

これは失敗事例です~75℃まで温度は上がったんですけどね、放置しておくと温度は下がっちゃうし、これ以上お湯入れるとただの泥水になっちゃうし、土に熱湯をかける方法で75℃:30分をキープするのは無理ってことが良く分かりました。

おススメの熱湯消毒方法

おススメする方法は「湯煎」です。

手順は下記の通り

①ジップロックに土を入れる⇒土の量が多すぎると加熱に時間がかかるので適量にしておきましょう。

ちと入れ過ぎた(^^♪

②水を加える⇒熱伝導効率を上げるためです。水分量の理想は60%(握って、ほぐすとパラパラになる水分量)ですが、どうせ後で乾かすので少し多めでも良いでしょう。

水をいれてもみもみした状態、ジップロックの封は間違いなく閉めておきましょう~

③お湯につけて加熱する。
ジップロックに入ってますけど…土ですからね~食事を作る鍋、フライパンは使いたくないものです⇒写真はダメになった鍋使ってますけど、使い捨てのアルミ鍋でもいけるんじゃないですかね。

加熱するのはキッチンのコンロ、ポータブルのガスコンロ、石油ストーブの上など、どこでも良いです。

ストーブの上で加熱中…ときどき温度計突っ込んで中心温度を確認します。

④温度計で中心温度を確認してから時間を計る

75℃を超えてから、30分以上温度を保てれば成功です‼

75℃超えました‼ このまま30分加熱待ちます

⑤取り出して乾かす

一連の流れを動画にしました↓

熱湯消毒した後の注意点

おそらく、75℃30分、若しくは85℃15分で殺菌すると、悪性の病原菌だけでなく、良性の善玉菌もかなり死滅してしまいます。

そもそも土の中には沢山の種類の微生物が混在していて、それぞれバランスを取りながら多様性を保っています。良い土は特定の悪性病原菌が増殖できない環境なんです。

ということは、熱湯消毒した後は良性の微生物(善玉菌)も少ない状態ですから、悪性の病原菌が住み着いてしまうと…また爆発的に増殖してしまう可能性があるってことです⇒病気が疑われる苗を植えたり、病原菌の付着したプランターで熱湯消毒した土を使うのは絶対NGです。

できれば熱湯消毒した後の土には良性の微生物を含む資材を混ぜておいた方が良いと思います…有効微生物を含む土のリサイクル材とか、微生物資材、良質の堆肥、腐葉土でも良いと思います。↓例えばこれとか

おわりに…土の熱湯消毒は必要?

プランターで野菜が酷く病気にやられたとか…余程のことが無い限り、土の熱湯消毒は必要ないでしょう。

まず、面倒くさい、熱いし危ない(*_*)

善玉菌も殺菌しちゃいますしね。

ちなみに、土を高温にして消毒する方法なら、太陽熱を利用する方法もあります。

太陽熱消毒やってます~夏の暑い季節に、水分を含ませた土を透明のビニール袋に入れて、日光がガンガン当たる場所に放置しておくだけです。2~3週間時間がかかります。

太陽熱消毒は簡単で安全、しかも大量の土を消毒可能~ただし、気温の高い夏(7月~8月下旬旬)限定の方法です。

土を高温消毒するなら、できれば太陽熱消毒を選択したいです。

まあ、気温が低い季節に土を消毒するなら、農薬を使うか、熱湯消毒しか方法はないんですけどね。

熱湯消毒は最終手段にしておきましょう‼
(プランターの土なら、買い替えてしまう最終手段もありますけど…)