【家庭菜園】人参栽培の方法|時期、土作り、肥料、種まき、間引き、収穫まで徹底解説
人参は比較的に害虫被害も少なくて、無農薬でも育てやすい野菜です。
病害虫の被害より厄介なのは芽出し(発芽)でして…人参栽培の最大の難所は種を撒いてから芽が出るまでの管理になります。
人参の発芽条件は15℃~25℃(35℃を超えると発芽しません)、種まきしてから芽が出るまで1週間以上かかることもザラでして、その間ずっと必要な水分と温度を確保してあげる必要があります。
発芽の山場を越えてしまえば栽培に成功したようなもんです。後はポイント押さえて少しの管理をしておけば難なく育てることができますよ。
人参の病害虫と対策は?
<人参>
人参はセリ科の野菜です。
<人参の主な病害虫と対策>
・黒葉枯病、うどん粉病などカビ(糸状菌)が原因の病気
対策:カビ(糸状菌)の増殖条件は温度と湿度です⇒水はけのよい畑で育てる、被覆資材で「蒸れ」させないように気を付ける。
・ネコブセンチュウ…土の中で人参を食い荒らす害虫です。
対策:緑肥を使って、土の中の線虫密度を減らす。
《関連記事》 【家庭菜園】緑肥で土作り、緑肥の種類と効果まとめ
・アブラムシ類
対策:窒素肥料のあげ過ぎに注意する。
・キアゲハの幼虫、ヨトウムシなどの芋虫
対策:テデトール(手で取る)⇒苦手な方は割りばしで回収
人参の栽培時期は?
人参の栽培時期は大きく春作と秋冬作に分けられます。
<春作>
・春まき⇒春どり:1月~2月に種まき⇒5月に収穫…まだ寒い時期の栽培なのでトンネル保温が必要
・春まき⇒夏どり:3月中旬~下旬に種まき⇒6月下旬~8月中旬に収穫
<秋冬作>
・夏まき⇒秋冬どり:7月下旬~8月上旬に種まき⇒11月中旬~1月に収穫
種まき~収穫までおよそ120日、栽培期間がとにかく長い野菜です。
人参畑の土作りは?
にんじんは水はけの良い場所に植え付けましょう。湿気が多いとカビ(糸状菌)が発生して病気の原因になってしまいます。
出来れば、種まきの2週間~1ヵ月前には堆肥や腐葉土などの有機物を土に入れておきたいのですが…時間がなければなしでも構いません。※1月~2月春まきの場合:種まき前の冬の畑は、育てている野菜が無い空っぽの状態なので時間を多く取れると思います…堆肥などの有機物を早く撒いておきましょう。
人参は根菜ですので、種まき前に土をスコップで反転して、人参が育つ土を柔らかくしておきます。
人参の肥料はどの位必要?
人参を育てるのに必要な肥料量を千葉県の施肥基準で確認してみます。
※千葉県を参考基準に選んだ理由は、北海道に次いで人参の出荷量が多い地域だからです(2021年現在)…あくまでも目安とする施肥基準と考えてください。
因みに、お住いの地域の施肥基準が知りたい方は農林水産省のサイトから確認することができます。 農林水産省‗都道府県施肥基準等
話がややこしくなるので、窒素(N)成分量だけ見てみます。※農家さん向けの資料なので、大面積(10a=1,000㎡)あたりの基準量になってます。
①春まき⇒春どり:トンネル栽培…10a(1,000㎡)あたり窒素(N)成分量15㎏
②夏まき⇒秋冬どり…10a(1,000㎡)あたり窒素(N)成分量10㎏
※気温が高い時期の窒素肥料は少な目でいいみたいですね。
参考)千葉県‗主要農作物等施肥基準(平成31年3月改訂)_施肥基準(野菜:セルリー~れんこん)
実際に春人参の種まきをするとして…この窒素成分の基準で畑に撒く肥料の量を計算してみましょう。
例えば、窒素(N)‐リン酸(P)‐カリ(K)=5(%)‐6(%)‐5(%)の肥料なら…
1㎡の家庭菜園で人参を作る場合、必要な窒素成分量は10g(10㎏÷1,000㎡)で窒素成分を5%含んでいる肥料は200g必要となります(200g×5%=10g)。
※夏に人参の種まきをするのなら300g(300g×5%=15g)ですね
再三になりますが、これはあくまでも目安です。
必要な肥料成分量は地域や畑の条件によっても変わりますし、それに前作の肥料成分がまだ畑に残っている可能性もあります(⇒その場合、基準量の窒素肥料を撒いてしまえば完全に「肥料の入れ過ぎ」になってしまいます)。
人参は生育期間が長いので基肥(種まき前に入れる肥料)が不足していても、後で追肥すれば大丈夫ですから、あくまでも肥料は控えめにしておきましょう。
人参の株間と条間は何㎝?|マルチは必要?
株間:3~4㎝程度⇒はじめは適当に多めに種をすじ撒きして、間引きしながら株間を整えます。
畝間:条間20㎝⇒1条or2条をひと畝として畝間60㎝
マルチ:基本マルチなしでも大丈夫ですが…黒マルチで地温の確保(春まき)、土壌水分の確保(夏まき)を狙ってマルチをするのもアリです⇒人参用の沢山植穴があいたマルチがあります。
人参の種まきから芽出し(発芽)までの管理方法は?
人参の種は好光性種子で光が当たると発芽が促進されます。
反対に光のない深い土の中になると発芽が難しくなり、下手をすれば芽が出ないかもしれません。
種まきの深さは、種の大きさの3倍程度が基準です。人参の種はすごく小さいので、畑に軽く溝をつけて薄く覆土だけでOK
まあそれほど気にしなくても大丈夫、ただずぼっと深いところに種まきするのは止めましょうってことです。
春作:芽出し(発芽)までの管理
発芽に必要な温度と水分を確保するために、種まきした後すぐに不織布で「べたがけ」してください。
春まき⇒春どり、ビニールトンネル栽培の場合
種まき時期が1月~2月の春まき⇒春どり栽培の場合はさらにビニールトンネルで保温する必要があります。
不織布をした、さらにその上に穴あきのビニールトンネルを掛けます。
※トンネルのビニールは穴あきを使ってください。完全密封のビニールトンネルを掛けてしまうと、天気の良い日に高温になり過ぎて人参が焼けてしまう可能性があります。
<トンネルをはがすタイミング>
3月の中下旬になれば、気温もだいぶ上がりますからトンネルをはがしてあげましょう。
《関連記事》【家庭菜園】防虫ネット、寒冷紗、ビニールなどの被覆資材をトンネルで畑に設置する~支柱や被覆資材のサイズの選び方とおススメの設置方法
秋冬作:芽出し(発芽)までの管理
7月下旬~8月上旬の種まき後の管理はとにかく「水やり」です。
真夏ですから、高温で畑が乾燥していることが多く、人参が発芽するために必要な水分を「水やり」し続けなくてはいけません…カラカラの畑では人参の芽は出ません‼
しかも人参は芽が出るまでやたらと時間がかかります。
もし、秋冬作の人参づくりに挑戦されるなら、最大の難関「種まき後の水やり」をどうするのか、予め決めておきましょう。例えば、芽が出るまでは毎朝畑で水やりするとか…
人参の間引き方法は?
人参の本葉が出始めたら、少しずつ間引きしてあげます。大きく育ったものを残しながら、最終的に株間3㎝~4㎝に整えてあげます。
人参栽培の管理方法は?
人参栽培の要所は草取りです。
人参は種まきしてから発芽までとても時間がかかるので、雑草の方が早く発芽してしまいます。
油断すれば草ぼうぼう、どれが人参なんだか良く分からない状態になっちゃいます。ですので、とにかく草取りは頻繁にするようにしてください。
草取りをするときに、条間をなぞって土に空気を入れてあげましょう。こんな些細な作業ですが、意外と効果があるんです。※このタイミングで追肥してあげるとなお人参は喜びます(^^♪葉っぱの色が黄色がかってきたら追肥してあげましょう。
人参収穫のタイミングは?
まだ小さくても間引きするつもりで(自分が食べられる量だけ)少しずつ収穫するのがおススメです。
人参は温度管理が悪いとすぐに駄目になってしまう野菜です。家庭の冷蔵庫ではそれほど持ちません…(人参業者さんには超低温の冷蔵庫があります)
ですので小さいうちから、食べられる量だけ少しずつ収穫して楽しむのがおススメですよ(^^♪
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